犬が近づいてきた。目が合った。尻尾を振っている――
「あ、なでてもいいんだ!」と思った瞬間、吠えられたり、後ずさりされたりしたことはありませんか?
犬を飼っていない人はもちろん、飼い主さんでも「犬が近づいてきた=なでてほしい」と思いがちです。
でも、実は犬の多くは「確認」したくて近づいているんです。

犬が近づくのは「挨拶」や「観察」のサイン
犬が人に近づく理由は、必ずしも「触ってほしい」ではありません。
「この人は安全かな?」「怖いことをしないかな?」
犬はそんなふうに、まず相手を“観察”し、匂いや雰囲気で情報を集めています。
もちろん、初対面でも「撫でて!」と全身で甘えてくる犬もいます。
でも多くの場合はまず「あなたのことを知りたい」という気持ち。
近づく=スキンシップOKのサインだと思い込むのは、犬にとって少し負担になることもあります。

犬が近づいてくる行動は「興味」や「確認」であって、「接触したい」や「抱っこしてほしい」という気持ちではないことも多いということを念頭に置いてみると、犬に好かれる人になれるかもしれませんよ。
犬が好きだからこそ「触らない」という選択
INUMADO MEETでも多くの犬たちと出会います。もちろん犬が大好きで、「かわいい!撫でたい!」という気持ちがないわけではありません。
それでも、初対面の犬には自分から手を出しません。
なぜなら、知らない犬にむやみに触るのは、犬の不安や警戒心を刺激してしまうリスクがあるからです。
場合によっては飼い主さんが「うちの犬に勝手に触らないで」と思っていることもあるでしょう。
INUMADO MEETではこんな風に接しています:
1.犬が近づいてきたらゆっくり手を差し出し、犬が匂いを嗅ぎに来るのを待ちます。
2.もし犬が安心していそうなら撫でることもありますが、そうでないなら無理をしません。

こうすることで、犬は「この人は無理に触ってこない!安心できる!」と感じてくれることが多く、時間をかけて信頼関係を築くことができるのです。
「触らない」も立派な愛情表現
「せっかくうちの子が寄っていったのに触らないの?」と思う飼い主さんもいるかもしれません。
でも、本当に犬を思いやるなら「その子が望んでいる関わり方」を尊重することこそが、愛情です。
犬好きの人には少し不思議に思われるかもしれませんが、プロほど犬の“心のパーソナルスペース”を大切にしているのです。

犬たちを尊重すること。INUMADO MEETではそんな空気感を大事に、少人数制で犬と外遊びを楽しめるアウトドアイベントの運営を行っています。
犬が求めているのは「確認の時間」
犬が近づいてくるのは、愛情のアピールではなく「あなたを観察したい」という第一歩。
その気持ちを理解し、無理に触らずにそっとしてあげることで、犬は「この人は安心できる」と感じます。
- 触らない
- 急がない
- 無理をしない
たったこれだけで、犬と人との信頼関係は自然に築かれていくはずです。
犬が近づいてきたら、まずはその子の気持ちを尊重してあげましょう。
その優しさが、犬にやさしい社会を作る第一歩だと私たちは考えています。

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜