愛犬を呼んだのに全然来ない…。そんな経験はありませんか?「呼んだらすぐ来てくれる犬」に憧れる飼い主さんも多いはずです。呼び戻しは見た目の可愛さだけでなく、脱走やトラブルを防ぎ、愛犬の命を守る大切なスキルです。
この記事では、犬が呼んでも来ない理由を行動科学の視点から解説し、すぐに試せるトレーニングのコツをご紹介します。
なぜ犬は「おいで」で来ない?その理由は“3つのメリット”不足
犬は本能的に「メリットがある行動を選ぶ」動物です。呼ばれても来ないのは単純に「行く理由がない」から。飼い主さんを軽んじているわけでもありません。
考えられる原因は大きく3つあります。
1. 呼ばれても良いことがない
呼ばれても犬にとって良いことがなければ、「行く価値なし」と判断します。
- 撫でてもらえる
- おやつがもらえる
- 一緒に遊べる
など、呼ばれることを「嬉しい経験」と結びつけることが大切です。
まずは家の中から始め、徐々に散歩中に立ち寄る公園やドッグランなど誘惑の多い環境にステップアップしましょう。

外では必ずリードをつけて安全に練習してくださいね!
2. 「行かなくてもいい」と学習してしまった
呼ばれても無視できる状況が続くと、犬は「行かなくても平気」と学習します。
例:
- 「おいで!」→来ない→「まあいいか」で終わる
- 呼ばれて、ちゃんと行ったのに褒めてもらえない
これでは行動が減るのも当然です。
対策は以下の2つ:
- 来たら必ず褒める・ご褒美を与える
- 来なかったら呼びっぱなしで終わらせず、リードなどで必ず誘導する
短い距離で成功体験を積み重ねると効果的です。
また、リードで誘導する形になったとしても、決して叱るのではなく、楽しい雰囲気作りを徹底してくださいね!

今までできていたのに…というコは、学んでしまった結果かもしれません。もう一度、練習をやっていきましょう。
3. 呼ばれる=嫌なことの前触れになっている
犬が「おいで」を嫌がるのは、過去に起きた嫌な経験と結びつけた結果かもしれません。
- 呼ばれた直後にシャンプーや爪切りをされた
- 病院に連れて行かれた
- 抱っこされたくないのに捕まえられた
この場合は、「おいで=良いこと」に上書きする必要があります。
また、「おいで」は必ず楽しい場面だけに使い、病院などは別の言葉を使うなど、コマンドを使い分けるのも効果的です。

「おいで」=100%良いことがあるときだけ使う
「come」=ちょっと嫌なことがあるかもしれないけど来てほしいとき
といったように、言葉に意味の違いをつけて教えてあげると、犬の混乱を減らすことができます。
怒らないしつけが呼び戻し成功のカギ

「呼んでも来ない!」とイライラしても、叱って解決することはありません。
私たちだって不機嫌な人に「こっち来いよ」と言われたら行きたくないですよね。犬も同じです。
呼ばれて行った先が「楽しい・安全・優しい場所」であると学ぶことが、信頼関係を深め、呼び戻しの精度を上げる一番の近道です。

「呼び戻し」は、一朝一夕にはできません。焦らないで、コツコツと続けましょうね。
首輪をつかむまでをセットで教えよう

「呼ばれたら来る」だけで終わらせず、首輪をつかませるところまで練習しましょう。
近くまで来ても、捕まえられなければ意味がありません。
- 呼ぶ
- 来たら首輪をつかむ
- 首輪を持ったまま褒める/ご褒美を与える
この一連の流れをセットで教えると、脱走やトラブル時の安心度が格段に上がります。

これは上級ステップです!ここまで出来たら、本当に素晴らしいです!
呼ばれたら喜んで来られる関係を作ろう
犬が呼ばれて来ないのは、下に見ているからではなく「メリットがない」「嫌なことがある」と感じているだけです。
来たら褒める、楽しい雰囲気で練習する、嫌な経験と結びつけない――この積み重ねが「おいで=嬉しい」の合図に変わります。
焦らず、怒らず、たくさん褒めながら練習を重ねましょう。
呼んだらニコニコと駆け寄ってくる姿は、飼い主にとっても最高のご褒美になるはずです。
INUMADO MEETでは、ロングリードをつけて広々としたフィールドで遊べるから、呼び戻し練習の機会もたくさん!
いつもと違う刺激(匂い・音・他の犬)がある環境で、呼び戻して首輪を掴めたら、もう完璧!
できなくても、犬のプロがイベントには常駐しているので「どうして?」と質問して“コツ”を掴んで帰れますよ。
INUMADO MEETで現在どんなイベントが受付中か、ぜひここからチェックしてみてくださいね。

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜

