「うちの子、犬なのに泳げないんです」
夏が近づくと、こんな声をよく耳にします。実際、INUMADO MEETで川遊びイベントを開催すると「水に慣らしたいから参加したい」という飼い主さんが多くいらっしゃいます。
犬=泳ぎが得意、というイメージは強いですが、現実には水が苦手な犬も少なくありません。その理由は、体の構造や過去の経験、慣らし方、道具の使い方、飼い主の関わり方など、さまざまな要素が絡み合っています。
犬はもともと自然に存在していたわけではなく、人の目的に合わせて作られてきた“仕事のパートナー”です。
たとえばレトリバー系の犬は、水辺で獲物を回収する仕事をしてきたため、水への耐性があり泳ぎが得意です。
一方で、水仕事と縁のない犬種や、パグやフレンチブルドッグのような短頭種は、身体構造的に泳ぎにくく、水を怖がる傾向があります。
つまり「犬だから泳げる」とは限らないのです。

あなたの愛犬がどれに当てはまっているか、考えてみよう
愛犬が泳がない理由は、いくつか考えられます。どれが該当するのか、一緒に考えてみましょう。
①過去の怖い経験がトラウマに?
水嫌いの原因として意外と多いのが、ネガティブな体験です。
・高い波に驚いた
・寒い時期の水遊びで震えた
・プールに落ちて溺れかけた
また、ライフジャケットのフィッティングが間違っていると、バランスを崩してパニックになることも。
こうした経験が「水=怖いもの」という印象を強く残してしまいます。

ライフジャケットが緩いと、水に入った瞬間に犬がバランスを崩すだけでなく、水面で一回転してしまうことも。そんな様子を見たことはありませんか?
②水への慣らし方が極端すぎる
水に慣れてほしい気持ちが強すぎて、無理に入れようとしたり、逆に少し嫌がっただけでやめてしまったり…。
慣れるスピードは犬によって違います。10分で慣れる子もいれば、4年かかる子(私の愛犬がそうでした)もいます。理想は「嫌なことは避けつつ、少しずつできることを増やす」こと。
犬のボディランゲージや様子を観察しながら、「あと一歩だけチャレンジ」を一緒に乗り越えていく姿勢が大切です。

慣らし方が不安なら、トレーナー主催のプールイベントに参加するのもおすすめ!INUMADO MEETの場合は、トレーナー常駐のもと、実際の川で遊べる企画をご用意しています。
③いきなり難しいことをさせている
水に慣れる前にSUPやカヌーなどを挑戦させると、“水+揺れ+音”の複合刺激で大きなストレスになることがあります。
まずは浅瀬やプールで足元から慣れるのが基本。ただし、中には長時間水辺を体験することで慣れる子もいるので、その子に合った方法を見極めることが大切です。

表情の変化や体の震え、排せつ物などに変化はないか?日常との違いを、観察しましょう!
そもそも水嫌いを克服させる必要があるの?

「うちは泳がなくてもいい」と思う方もいるかもしれませんが、水は日常に潜んでいます。
シャンプー、雨の日の散歩、災害時の水たまり…。水に対して、過剰な恐怖があると日常生活がストレスフルになります。
一方で、水遊びができれば遊びの幅が広がり、自信や絆も深まります。
水は日常に存在するものであり、本能的に避ける対象ではありません。そのため、多くの犬が”慣れ”で恐怖心を和らげ、楽しめるようになります。
「できないこと」が減り、行ける場所が増えるのは犬にも飼い主にも大きなメリットですよね。
水に慣れると広がる犬との暮らし
水慣れは、犬との暮らしにおける選択肢と遊びの幅を広げるチャンスです。
「うちのコは泳げない」と焦らず、押しつけず、でも諦めずに、「ちょっとずつ」を積み重ねていきましょう。それが、水を好きになるための第一歩です。
犬と過ごす時間が増えるほど、「犬と一緒に何ができるかわからない」
「自分の犬にできるか不安」「遊ばせたいけれど安心できる場所がない」など、飼い主が抱える悩みも増えていきます。
『INUMADO MEET』なら、そんな不安に寄り添いながら、犬と人が自然の中で“ともに”遊びながら学ぶことができます。犬とあそびのプロ同伴のもと、愛犬との外遊びに関する講義、装備のフィッティング体験、実践ワークなどを組み合わせ、「初めて」でも安心して参加できる学びと実践の場を提供するアウトドア体験型イベントです。
犬の人生に、自信と遊び心をプラスしてくれる水慣れ。チャレンジする価値が、きっとありますよ!

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜