「犬にアイコンタクトを教えましょう」という言葉、しつけ本やSNSでよく目にしますよね。
「目を合わせれば集中力がつく」と言われることも多いですが…実は、
アイコンタクトってわざわざ“教える”ものではないのです。
犬は「この人、何かしてくれるかも!」という期待感があるときに自然と目を見てくれます。

犬はもともと目をそらす生き物。でも“期待”すると見てくれる
犬同士の世界では、目をじっと見つめるのは喧嘩の前のサイン。
反対に、視線をそらす「カーミングシグナル」は平和の合図です。
だから犬は、人に対してもじっと見つめるより「目をそらす」ことの方が自然なんです。
でも、おやつや遊びを期待しているときには…
犬は自分からじっとこちらを見てきます。
このとき、
- 目の輝き
- 尾の振り方
- 顔や体のリラックス具合
などのボディランゲージも一緒に見てあげると、
「この子、今ワクワクしてるな!」という気持ちが読み取れるはず。

「教えたから見る」のではなく、「期待するから見る」
多くのしつけ解説では「アイコンタクト=集中」と書かれていますが、
順番が逆なんです。
❌ アイコンタクトを教えたから集中できる
⭕ 期待感があるからアイコンタクトする
犬は「この人といると何か楽しいことがある!」と感じるから、
自然とあなたの目を見るのです。
だからこそ、教えるよりもまずは「人との時間=楽しい」と思ってもらうことが大切です。

人に対して良い印象を持てるような関わり方を日頃からしていきましょう!
教えるのが悪いわけじゃない!でも本質は別にある
もちろん、アイコンタクトをトレーニングで教えること自体は悪いことではありません。
- 撮影でカメラの方を向かせたい
- 気が散っているときに注意を引きたい
…など、実用的な場面もたくさんあります。
ただし忘れてはいけないのは、
「教えたから期待が生まれる」のではなく
「期待しているから自然と見る」という本質です。

この順番を理解した上で犬と過ごすと、うちのコが「いま何に期待しているか」というのが次第に分かるようになります。
まずは“楽しい関係”をつくろう!アイコンタクトは後からついてくる
アイコンタクトを「練習しよう」と思う前に、
犬にとってあなたとの時間が楽しい・うれしい・心地よいものになるよう心がけてみましょう。
- 一緒にたくさん遊ぶ
- おやつを使った楽しいトレーニングをする
- 名前を呼ばれたら良いことがある!と思わせる
こうしたポジティブな経験を重ねれば、
犬は自然とあなたの目を見てくれるようになり、
関係性ももっと深まりますよ。

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜