ドッグランについては、賛否両論があります。
- 「犬同士の社会化に良い!」という肯定派
- 「危険!トラブルの温床!」という否定派
実は、どちらも正しい意見です。
そして、その評価を決めるのは “飼い主の行動次第” です。
ドッグランで起こる多くのトラブルは、「犬同士で勝手にやりとりすればうまくいく」という誤解から生まれます。
犬にも犬同士のルールはありますが、当然「誰もが空気を読めるわけじゃない」と思いませんか?
だからこそ、“飼い主の意識”が重要な遊び場なのです。
ドッグランのメリットとリスクを知ろう
ドッグランには確かに多くの利点があります。
- 社会的スキルの向上
他の犬との関わりを通じて、犬同士のコミュニケーション力が育ちます。 - 十分な運動量の確保
高エネルギー犬種(ボーダーコリー、ジャックラッセルなど)が十分に運動できます。 - 本能的欲求の発散
追いかけっこや探索など、犬らしい行動をのびのびと発揮できます。
ただし、これらはすべて適切に管理されて初めて得られるメリット。
管理が不十分な環境や飼い主の意識不足があると、リスク(トラブル)のほうが上回ってしまうこともあります。
ドッグランでよくあるトラブルの原因
なぜドッグランでは犬同士の衝突が起きるのでしょうか?
よくある原因は以下のとおりです。
- エネルギーレベルの不一致
落ち着いた犬に、興奮した犬がしつこく絡むとストレスになります。 - 社会化不足
犬のボディランゲージを理解できず、相手に誤解を与えてしまう犬もいます。 - 所有性攻撃行動
おもちゃや飼い主への執着心から攻撃的になるケース。 - 入り口付近での“取り調べモード”
新しい犬を取り囲む状況は高ストレスで、ケンカに発展しやすいポイントです。
これらを踏まえると、「犬を自由に遊ばせればOK」という意識は非常に危険です。
管理不足は犬の怪我だけでなく、飼い主同士のトラブルにも繋がります。

今日からできる!トラブルを防ぐための“アクション”

トラブル要因はさまざまですが、まずはこれを意識しておけばOKというアクションを紹介します。
新しい犬が来たら「呼び戻し」で犬を制御
やることはシンプルです。
- 新しい犬が入ってきたら、自分の犬を必ず呼び戻す
- 首輪(ハーネス)を持ち、相手の様子を見る
この動作を習慣にするだけで、入り口付近での衝突リスクを大きく減らせます。
📌 呼び戻しはどこでもできるように練習を!
「うちの子は呼んでも来ない…」という声もよく聞きますが、日常の練習で改善できます。
自宅や庭、散歩コースなどさまざまな環境で練習し、呼び戻しが確実にできるようになると安全度がぐっと上がります。
トラブル回避の奥の手:「その場を離れる勇気」
相手の犬を見て「危ないかも」と感じたら、距離を取るのも立派な選択肢です。
- 犬が呼び戻せなければ、抱っこしたり、ハーネスを持って入り口から離れる
- 飼い主のタイプや周囲の雰囲気も観察する
- 嫌な予感がしたらその場を去る判断をためらわない
「うちの子は大丈夫」と思わず、慎重に観察することがトラブル予防につながります。
ドッグランは“飼い主のスキル”が試される場所
ドッグランは犬だけでなく、飼い主の行動力や観察力も問われる場です。
- 新しい犬が来たら呼び戻し&制御
- 相性を見極める
- 必要なら距離を取る
この基本を実践するだけで、ケンカや怪我のリスクを大幅に減らせます。
一度のトラブルで犬や飼い主がトラウマを抱えてしまうことも少なくありません。
だからこそ、「犬を観察する目」を養い、飼い主自身が安全をつくる意識を持つことが大切です。
そうすれば、ドッグランはもっと楽しく安心な遊び場になりますよ。

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜

