SNSなどでよく見かける「留守番が長くさせてしまう人は犬を飼う資格がない」という意見。あなたはどう感じますか?
私は夫婦でドッグトレーナーをしており、毎日犬と一緒に仕事をしていますが、その意見には賛同できません。
犬は社会的な動物で、長時間ひとりで過ごすことが心身に影響を与える可能性があるのは事実です。ですが、だからといって「留守番時間が長い=飼う資格がない」と決めつけるのはあまりに極端。犬はもともと「狩りをして食べる」生活をしてきた動物。必要な時に全力を出せるよう、普段はしっかり眠り体力を温存しています。現在は遊び(遊戯行動)を通じてエネルギーを発散し、刺激を取り入れているのです。
犬は一日どれくらい寝てる?知られざる犬の生活リズム

成犬は1日に12~14時間、子犬や老犬は18~20時間眠ると言われています。つまり、お留守番中もずっと寂しがっているわけではなく、精神的に安定した犬はしっかり眠りエネルギーを蓄えていることが多いのです。もちろん、寝てばかりで良いわけではありませんが、犬の生活リズムを知ることで、「留守番がある=かわいそう」ではないと理解できます。
仕事から帰ってきて犬が大歓迎してくれると、「寂しかったのかな…」と胸が痛むこともありますが、あまり不安になりすぎず、「これからどう一緒に過ごそうか」と考える方が、犬との関係にとってプラスです。
大切なのは、「質」のいい時間を一緒に過ごすこと

「犬を飼うためにテレワークに切り替えたり、仕事を辞めたり、引っ越したりする人もいます。それは、素晴らしい選択ですが、誰もができるわけではありません。
生活や仕事、家族がある中で「飼う資格がない」と言われてしまったら、多くの犬と人の幸せが失われてしまいます。
大切なのは、一緒にいる時間の「長さ」ではなく「質」。たとえ1日に4時間しか一緒にいられなくても、その4時間でしっかり散歩や遊び、心が満たされる時間を過ごせれば、犬にとって豊かな時間となります。
反対に、ずっと家にいても放置され刺激がなく、つまらない日々や不安定な環境にいるなら、それは犬にとって苦しいことです。
留守番時間が長くても愛犬の心を満たす遊び&工夫アイディア

「この子を幸せにしたい」— それは全ての飼い主さんに共通する想い。形は人それぞれでいいのです。
平日は仕事、休日はたっぷり遊ぶ。外出できない日は家の中で工夫して過ごす。限られた時間の中で犬にとっての豊かさを作ることが重要です。
留守番時間が長いからと罪悪感を持ちすぎず、季節や環境に応じて遊び方を変えてみましょう。
例えば…
- ノーズワークや知育玩具で頭や鼻を使った遊び
- トレーニングやトリックでゲーム感覚の楽しみ
- かくれんぼやおもちゃ遊びで運動欲求の発散
こうした遊びはSNS上やプロのトレーナーからの情報で得ることができます。自分のライフスタイルに合う方法を見つけて、犬が「満たされた」と感じる体験を増やすことが、飼い主としての愛情なのではないでしょうか。
自分を責めないで!大切なのは「愛情」と「向き合い方」
目の前の愛犬がどうすればもっと楽しく暮らせるか。毎日を豊かにするにはどう工夫すればいいか。学び、考えることが飼い主として一番大切な姿勢です。
INUMADO MEETでは、犬と飼い主が外あそびを通じて新しい経験を共有し、遊びの幅を広げる活動を提供しています。留守番が多い犬にこそ、たまのごほうびとして新しい刺激や学びを与えてみてください。愛犬の笑顔やワクワクする姿に、飼い主さんも新たな喜びを感じられるはずです。
留守番が長いからといって「飼う資格がない」と思わないでください。かわいそうかどうかは時間の長さではなく、その時間の過ごし方で決まります。自分を責めず、今できることを見つけて、愛犬との毎日を豊かにしていきましょう。

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜

