犬と暮らしていると、日々たくさんの“要求”に出会います。
「おやつちょうだい!」「遊んで!」「なでて!」
そんな姿がかわいくてつい応えてしまうけれど、ふと「どこまで応えていいの?」と迷うこともありますよね。
今回は、犬の欲求にどう向き合えばいいのか。行動の背景や考え方、そして具体的な工夫について解説します。

犬の要求行動=「わがまま」ではなくコミュニケーション
「ちょうだい」「かまって」といった要求行動は、犬からの立派なコミュニケーション。
・お腹がすいた
・退屈している
・さみしい
・もっと構ってほしい
そんな気持ちを、犬は言葉ではなく行動で伝えているのです。
「欲求=わがまま」と切り捨てる前に、「このコは何を伝えようとしているのかな?」と考えてみましょう。
むしろ無視ばかりされると「この人には伝わらない」と学習し、犬が無気力になってしまうこともあります。

無気力な犬は、一見すると”わがままを言わずいい犬”かもしれませんが、どちらの犬が精神的に健康なのかは、この記事にたどり着いた皆さんには、すぐ分かりますよね。
ただし「無限に応える」のはNG!
犬の欲求は、一度応えれば止まるわけではありません。
・食欲旺盛なら、与えるだけ食べたがる
・遊び好きなら、何時間でも遊びに誘う
・甘えん坊なら、ずっと膝にいたがる
そんな行動に無制限に応えていると、肥満や依存、飼い主さんの疲弊など、トラブルにつながります。
だからこそ大切なのは「どこまで応えるか」のバランスです。

欲求に応えるタイミングによっては、「要求吠え」が習慣付き、飼い主さんがノイローゼになってしまうようなケースもあります。
3つの欲求別!応え方の工夫
1. 食べたい(食欲)
フードやおやつの欲求は、健康への影響が大きいポイント。
無制限に与えるのではなく、次のような工夫を。
- フードのカロリーを見直す(低カロリーで給餌量を増やし、満足感アップ)
- 知育玩具を活用し、食べる時間を長くする(夢中になって満足度アップ)
- ごはんをトレーニングのご褒美として小分けで与える(食べられた!という回数を増やす)
2. 遊びたい(活動欲)
遊びは大切ですが、飼い主が何時間も相手するのは難しいもの。
- 一人で遊べる安全なおもちゃを用意(安全上、簡単に破壊の懸念があるおもちゃと分けて管理)
- 噛んで満足できるグッズを活用(木やチーズなど※長時間与えないように注意)
- 遊ぶ時間を少しずつ増やして習慣化(もう少ししたら遊んでもらえるはず!という気持ちにさせる)
「全部飼い主が相手をしなきゃ」と思わず、道具を上手に使いましょう。
3. なでて・そばにいて(愛着欲)
「もっと一緒にいたい」という気持ちは、留守番の長さや不安が原因かもしれません。
- 一緒にいるだけでなく、「深い関わり」をする(遊びやトレーニングをしながら過ごす)
- 犬専用の安心できる居場所を用意する(日常の刺激が多すぎる場合は、クレートやサークルで落ち着ける空間をつくる)
欲求との付き合い方も「暮らしの一部」
犬の欲求対応は、イエスかノーかの二択ではありません。
大切なのは、
- 今この欲求にどう応えられるか?
- 飼い主も無理なく、犬も満足できる形は?
というバランス感覚です。
「わがまま」に見える行動の裏側には、不安や退屈といった“本当のサイン”が隠れていることも。
その気持ちに耳を傾けて工夫して応えることこそが、犬との信頼関係を深める第一歩です。
犬の欲求にどう向き合うかは、飼い主が悩みやすいテーマですが、答えは一つではありません。
大事なのは「すべて応えること」でも「すべて拒むこと」でもなく、犬と人が無理なく続けられる関係をつくること。
欲求に耳を傾けて工夫を重ねることは、“長いようで短い”犬との暮らしをもっと豊かにしてくれるはずです。

原案・監修:いぬのまどぐち/ドッグトレーナー・片寄智慧
編集・校正:いぬのまどぐち/今村奈緒菜

